身の回りのウソ科学~騙されない大人になろう~
世の中には、まったく科学的ではない事項が、
まるで科学であるかのように装って人を騙すことがあります。
これを「疑似科学」と言いますが、
「ウソ科学」と言い換えても問題ないくらい、悪質なものが多いのです。
今日はそのほんの一例をご紹介しましょう。
【マイナスイオンは体にいい】→ダウト
「マイナスイオン」は言葉自体に科学的な定義がなく、
使用者によって異なる意味合いで使われている状態。
さまざまなマイナスイオン商品についても科学的な実証がほとんどなく、
「健康に良い」というイメージだけで流行した稀有な例です。
ごく最近の「ナノイーイオン」「プラズマクラスターイオン」も、
ほぼ同様のものだといえます。
【皮膚呼吸できないと人間は死ぬ】→ダウト
皮膚呼吸に頼った生物が多数存在することと、
哺乳類も割合は微小ながら皮膚呼吸を行っていることから広まった俗説です。
しかし、人間の皮膚呼吸の割合はわずか1%に過ぎず、
これが阻害されたからと言って健康が阻害されることはまずありえません。
この俗説が広まったのは、
お祭りやイベントで全身をコールタールや金粉などで
塗りたくった人が死に至ったケースがあるためですが、
この場合の死因は熱中症とされています。
人間は体温調節を汗腺で行っているので、
自分の体温が高温になりすぎて死に至ったわけです。
皮膚呼吸に気を使う必要はありませんが、
熱中症に気を付けましょう。
【コラーゲンには美肌効果がある】→ダウト
コラーゲン自体が必須な成分であることは疑いようのない事実ですが、
経口摂取したところで分解されてしまうのでまったく意味がなく、
また肌に塗るものは保湿剤としての効果はあっても、
そのまま皮下に吸収されることはあり得ません。
【なんにでも効くゲルマニウム】→ダウト
「貧血に効果がある」「疲れがとれる」「新陳代謝を活発にする」「癌に効く」
などともてはやされたゲルマニウムですが、
人体への健康効果は科学的にまったく立証されておらず、
それどころか無機ゲルマニウムは生死にかかわる深刻な副作用があるので、
経口摂取は絶対に避けるべきです。
【セルライトは悪い脂肪の固まり】→ダウト
医学的には健康な組織で病気や異常とはみなされておらず、
美容業界や健康食品業界でよく説かれる、
特殊な治療や療法が必要とされることはありえません。
通常のダイエットでも皮下脂肪が減少すれば、
自然にセルライトは目立たなくなります。
【アルファ波でリラックス】→ダウト
リラックス時には誰でもアルファ波が出ているので、
アルファ波を増幅させる音楽、装置などはまったく意味がありません。