テトリス事件~複雑怪奇な版権と真の勝者~
アーケード版やゲームボーイ版で大ヒットしたテトリス。
パズルゲームといえばテトリス。
旧ソ連のアレクセイ・パジトノフ博士が開発したパズルゲームの元祖で、
誰もが一度は夢中になったことでしょう。
セガとしてはアーケードで大ヒットしたゲームですから、
当然自社コンシューマ機でも発売を予定していましたが、
1989年4月、メガドライブ版の発売を急きょ中止し、結局廃棄処分にしてしまいました。
これはテトリスを巡る複雑なライセンスの問題がありました。
もともとのライセンス管理を行っていたのは、ソ連外国貿易協会(ELORG)。
そこからライセンスを受けたのがハンガリーのアンドロメダソフト。
そしてイギリスのミラーソフト、アメリカのアタリソフト、
その子会社テンゲン、の順で伝言ゲームのようにライセンスを受けていました。
セガはテトリスのライセンスをテンゲンから受けていました。
ところが、アンドロメダソフトがライセンスを受けていたのは、
実は”PC用”のみの権利でした。
さて、任天堂はゲームボーイ用のテトリスを販売しようと独自に調査したところ、
上記のような絡まったライセンスの関係を知り、
”家庭用ゲーム機全般”に対するライセンスをELORGから直接取得。
【テトリス ライセンスの流れ】
ELORG →(コンシューマ用)→任天堂
↓
(PC用)
↓
アンドロメダソフト
↓
ミラーソフト
↓
アタリソフト→テンゲン
↓
セガ
これを武器に任天堂はテンゲンを著作権侵害で訴え、勝訴しました。
これを知ったセガは、メガドライブ版テトリスを諦めました。
かくして家庭用ゲーム機版テトリスを独占することになった任天堂、
ゲームボーイ版テトリスは424万本を売り上げる大ヒット作になりました。
ちなみに、1996年にはザ・テトリス・カンパニーが
設立されて版権管理やライセンスの手続きを行うようになり、
複数の会社からテトリスが発売されるようになりました。