天才に「天才」と評された孤高の侍
その名は前田智徳。
彼を「天才」と呼ぶのは、長嶋茂雄氏、落合博満氏、イチロー氏、松井秀喜氏など、
そうそうたるメンツで、彼らもまた天才と呼ばれるバッターたちばかり。
その中でも彼自身も尊敬していた落合氏とのエピソード。
現役時代から、「本当の天才はオレじゃなくて前田だよ」と語っていたように、
チームの福留や森野といった左打者には、
「真似していいのは前田だけだ。前田だけを見習え」と指導。
実際にキャンプでフォーム改造を試みました。
しかし、落合氏がもっとも評価していた点は、
落合氏と同じく、野球に対する真摯な姿勢ではないでしょうか。
故障する以前は、対戦相手の決め球を打つためにわざと見逃したり、
納得のいかない打球には本気で走らなかったりということがしばしばありました。
しかし、江川卓氏がそういった姿勢を痛烈に批判してからは、
そういったことはなくなり、すべてのプレーに全力を注ぐようになりました。
チームでももっとも遅くまで練習し、
打撃の神様・川上哲治氏も「天才肌なのにこつこつ努力するひたむきな男」だと
賛辞を送られています。
しかし、残念ながら今年4月の試合中にデッドボールを受け、手首を骨折。
このまま引退してしまうのではないか、と言う声もあります。
是非ともその雄姿をもう一度グラウンドで見たい選手です。